木組きぐみ)” の例文
うつったものは乾燥かんそうされたワラであるし、屋根やねうらの高い小屋の木組きぐみは、一しゅんにして燃えあがるべくおあつらえにできている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あらゆる社会の問題はその疑問点をこの首切り刃のまわりに置く。断頭台は一の幻影である。それは一個の木組きぐみではない、一個の機械ではない、木材と鉄と綱とで作られた無生の仕掛けではない。
低いうつろな笑い声のようなものが、聞えたと思った。私は思わずふり返った。壕を支えた木組きぐみによりかかって、背の高い吉良兵曹長の顔は、ろうのように血の気を失い、仮面に似た無表情であった。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
改めてこのほこらを見るに、木組きぐみひさし手斧ちょうなのあとなど、どことなく遠い時代のにおいがあって、建物としては甚だ粗末ですが、屋根においかぶさっている二本松と共に
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)