朝夕あけくれ)” の例文
猟師かりうどの家につかへ、をさをさ猟のわざにもけて、朝夕あけくれ山野を走り巡り、数多の禽獣とりけものを捕ふれども。つらつら思へば、これまことおおいなる不義なり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
朝夕あけくれ黄金丸が傍にかしずきて、何くれとなく忠実まめやかに働くにぞ、黄金丸もその厚意こころよみし、なさけかけて使ひけるが、もとこの阿駒といふ鼠は、去る香具師こうぐしに飼はれて、種々さまざまの芸を仕込まれ
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「思へば憎き彼の聴水、重ねて見当らばただ一噬みと、朝夕あけくれ心をばれども、彼も用心して更に里方へ出でざれば、意恨うらみを返す手掛りなく、無念に得堪えず候」ト、いひおわりて切歯はがみをすれば
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)