書上かきあげ)” の例文
精勤シロトイウカラ、出精シテ、アイニハ稽古ヲシテイタガ、度々書上かきあげニモナッタガ、トカク心願ガ出来ヌカラクヤシカッタ——
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何故と云ふに表向の書上かきあげは必ずしも事実そのまゝでは無い。往々旁証のコントロオルを待つて始て信を伝ふるに足ることがあるからである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
自分は曾てこれに就て土地の人に尋ねて見たがよく分らなかった。『郡村誌』田代村の書上かきあげには「東南ニ浅間、三ツ尾根、水ノトウ、駕籠ノトウヲ負ヒ」
上州の古図と山名 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
第一、神社合祀で敬神思想を高めたりとは、政府当局が地方官公吏の書上かきあげだまされおるの至りなり。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
見られコリヤ願山其平左衞門には外に名が有筈なり其頃はなんぢも同じ京都に居たる故知つて居ならん何ぢやこたへが出來ずば此方より云つてきかせん彼は日野家の雜掌ざつしやう安田平馬と云し者ならん四年以前逐電ちくでんせつ書上かきあげに三十九歳とあり歳頃も丁度ちやうど似合なり汝隱し立を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたくしは此所このところに瑞仙の書上かきあげを参照しなくてはならない。「時天明八戊午年人始て曼公の術あることを知る」と云ふ文である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ただただ功績の書上かきあげのみを美にして御褒美に預らんとする郡長に一任せしより、他方の官公吏は、なるべくこれを一時即急に仕上げんとて氏子輩に勧めたるも、金銭は思うままに自由ならず。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
錦橋の妻の事は書上かきあげに見えない。養嗣子霧渓撰の行状に至つて、始て「君在于京師時、娶佐井氏、而無子」と云つてある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)