曲事ひがごと)” の例文
お艶の曲事ひがごとはまだこれのみでなし、年に二度の湯治行き、あれをお前さん達は、並の湯治とお思ひかへと、得意顔に説き出せば、藤助ホクホクうなづきて
野路の菊 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
奇怪きわまる曲事ひがごとだ。ついに、父忠盛の生涯は、そんなものに、葬り去られてしまうのか。一体、昇殿問題とは、どういうことなのか。真の禍因は、何なのか。
『されば、このたびの曲事ひがごとなど、今どきの若い北面どもが、いかにも、やりそうなことではあるよ』
秀吉の側室そくしつに、うら若い淀君よどぎみとかいう美女がかしずくようになって、閨門けいもんめぐる奥仕えの者たちから、いろいろな曲事ひがごとが聞えて来ても、その寛やかな彼女の胸に、小波さざなみも立てることはできなかった。
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)