曖昧あやふや)” の例文
一枚二枚は余所目よそめを振らず一心に筆を運ぶが、其中そのうち曖昧あやふやな処に出会でっくわしてグッと詰ると、まず一服と旧式の烟管きせるを取上げる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今後の世界に於て行わるべき、正しい精神病の治療法というものは、そんな曖昧あやふやなもんじゃない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
動物的の愛なんぞは何処かの隅にそっしまって置き、例の霊性の愛とかいうものをかつだして来て、薄気味悪い上眼を遣って、天から振垂ぶらさがった曖昧あやふやな理想の玉をながめながら
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
批評家等がたれも許しもせぬのに、作家よりも一段上座じょうざに坐り込んで、其処から曖昧あやふやな鑑識で軽率に人の苦心の作を評して、此方の鑑定に間違いはない、其通り思うて居れ
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)