暴戻ばうれい)” の例文
然れども彼等はこと/″\暴戻ばうれい悪逆なる者のみにあらず。悉く兇横なる暴威をたくましうする者のみならず。中にはわが枕頭に来つて幼稚なる遊戯をなしつ禧笑きせうする者もあるなり。
松島に於て芭蕉翁を読む (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
こころみに問う、天下の人いかに、外に忠実なるしもべのごときは、内に暴戻ばうれいなる旦那なり。でては仁慈優愛なるもの、っては残忍酷薄こくはくにて、隣家となりの娘に深切なるもの、おのが細君には軽薄なり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
風呂敷から血に染つた片腕を出された時には、社長も顔色を失つて、逃げ掛けたサウですが、其裾そのすそとらへて悲惨なる労働者の境遇を説き、資本家制度の残忍暴戻ばうれいを涙をふるつて論じたのには
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
醜惡しうを獰猛だうまう暴戻ばうれいのたえて異なるふしも無し。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)