めまい)” の例文
が、いくら目をこすってみても、望遠鏡の焦点を再調整してみても、ヘルナーの山頂には少しも変わりなき異風景が見られたのである。ドレゴは遂にめまいもよおした。
地球発狂事件 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
ミサコは二人を送りだすと、めまいを感じたが、そのまま都会の火事の騒音のなかに巻きこまれてしまった。
女百貨店 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
しかし、それも長く見つづけているうちに、山山の肌は深海を覗くようなめまいを感じさせる。千鶴子は装飾窓にかかっている土地製のチロル帽を欲しがって店店を廻った。
旅愁 (新字新仮名) / 横光利一(著)
帰途片瀬の橋本旅館に一泊したが、その八日の夜半にめまいをおぼえ、褥中にいても寝返りごとに頭がくらくらした。その状態は一晩中つづいて、旅寝の憂を深めたが、朝になってやや軽微になった。
渡良瀬川 (新字新仮名) / 大鹿卓(著)