普及ふきゅう)” の例文
一般いっぱんの青年たちにも普及ふきゅうさせていたので、最後にはみんなでそれをおどり、一座に加わっていた老師を子供のように喜ばせたのであった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その他にも名は覚えていないが、錦城きんじょう中学に一人、普及ふきゅう英語に二人、正則の予備校の受験科に一人といった風に思い思いの学校を選んでいた。
乗物が発明されて、人間の脚が弱く醜くなった。文字が普及ふきゅうして、人々の頭は、もはや、働かなくなったのである。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
いや、知る人はその名山であることをほめるが、どういうわけか他の諸山に比べると普及ふきゅうはしない。夏になると、誰もがきまったように富士山へ、アルプスへと急ぐ。
その聴手ききてだった僕は、爾来じらい大いに共鳴きょうめいし、この論説の普及ふきゅうにつとめているわけなんだが、全くその岡安巳太郎という男は、科学的殺人が便宜べんぎになった現代に相応ふさわしい一つの存在だった。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)