“時借（ときがり）” の例文
その他に俺としては、家賃や諸払や、半分でも入れとかなければ義理の悪い時借（ときがり）など、全部でかれこれ、百五十円ばかりは必要だった。
神棚 (新字新仮名) ／ 豊島与志雄(著)
ちょっと手許（てもと）の苦しい時なぞに、お島は浜屋から時借（ときがり）をして来た金を、小野田の前へ出して、その男がどんな場合にも、自分の言うことを聴いてくれるような関係にあることを
あらくれ (新字新仮名) ／ 徳田秋声(著)
仰付（おほせつけ）られ下さるべしと申故米屋へも出入となり其上（そのうへ）急（きふ）に出物などにて金子に差支（さしつかへ）る節其は二三十兩又は五十兩と時借（ときがり）も致し尤も其都度々々（そのつど／＼）速（すみや）かに返濟（へんさい）なす故隱居も彦兵衞が堅（かた）き事を
大岡政談 (旧字旧仮名) ／ 作者不詳(著)
お金がないから、わざわざ此家（ここ）のうちへ飲みに来たんじゃないか。それどころか、むかし馴じみのお袖さんに会って、拾両ほど、時借（ときがり）して帰りたいのさ。……もう一ぺんそういっておくれ。
大岡越前 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)