是正ぜせい)” の例文
そうしてここに我々が論者の不注意に対して是正ぜせいを試みるのは、けだし、今日の我々にとって一つの新しい悲しみでなければならぬ。
しかし、その是正ぜせい鬱憤うっぷんとを師直に向け、あわせて、一気に高家こうけ一族の勢力を根こそぎ排除しようと計ったのは、どうしても直義の誤算であった。またその時期も過っていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万人は親の子でなくて、親の親の親の親等広い範囲はんいと関係があって、いわば天の子であり、その意味で、親そのものを批判ひはんし、教育し、是正ぜせいし、攻撃こうげきしているものであることを感じる。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
けれど、いかに主君たりと、彼らの善意な考え方までいちいち是正ぜせいすることもできない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、遭難そうなん当時の一と頃、世上にかまびすしく聞えた種々な取沙汰を今更のように思い出して、その流説るせつにまどわされて、きょうまで官兵衛に抱いていた誤った認識をそれぞれ心のうちで急に是正ぜせいしていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)