明眸皓歯めいぼうこうし)” の例文
旧字:明眸皓齒
明眸皓歯めいぼうこうし白粉おしろいっ気も何にもないのに五体から健康な魅力を発散するような美しさ、江戸中の見世物の人気をさらったというのも無理はありません。
隠してしまうには惜しいくらいな明眸皓歯めいぼうこうしのりりしい男まえを深々と天蓋におおって、間道を今度こそは板橋口へ一刻を争うように足を早めました。
錦の直垂ひたたれ緋縅ひおどしよろい明眸皓歯めいぼうこうしの大若衆、眼も覚めるばかり美しい中に勇気と気高さとを兼ね備えた、天晴れ勝れた大将振りに、一同はハッと頭を下げた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この公使館に、すこぶる優美な女がいた。明眸皓歯めいぼうこうし、風姿楚々そそたる、二十三、四の独身の秘書ステノであったが、私は、このお嬢さんセニョリータに、ゾッコン上せあがってしまった。
雷嫌いの話 (新字新仮名) / 橘外男(著)
氏の人品、氏の器量、氏の明眸皓歯めいぼうこうし、———総べては此の一夜のために用意されてゐたかと見えた。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その美代子さんは既に女学校を卒業して、白粉おしろいを濃く塗り始めた。もうお河童さんじゃない。明眸皓歯めいぼうこうしの美人だ。あれを考え、これを考えて、銀さんは昨今気が気でない。
心のアンテナ (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
陛下はまれに見る美人でおわしました。明眸皓歯めいぼうこうしとはまさにこの君の御事と思わせられた。いみじき御才学は、包ませられても、御詠出の御歌によってうけたまわる事が出来た。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
振り向いて見ると、月光を浴びて明眸皓歯めいぼうこうし二十はたちばかりの麗人がにっこり笑っている。
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)