日清戦争にっしんせんそう)” の例文
旧字:日清戰爭
しかしそれはごく近代のことであって、日清戦争にっしんせんそう以前の本来の日本人を生育して来た気候はだいたいにおいて温帯のそれであった。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
現に日清戦争にっしんせんそうの時にも、種々のはかりごとけんじて支那政府の採用さいようを求めたる外国人ありしは、その頃の新聞紙しんぶんしに見えて世人の記憶きおくするところならん。
かれは日清戦争にっしんせんそうに出征して牙山がざんえきに敵の大将を銃剣でしたくだりを話すときにはその目が輝きその顔は昔のほこりにみちてしゅのごとく赤くなるのであった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
剣舞の次は幻燈げんとうだった。高座こうざおろした幕の上には、日清戦争にっしんせんそうの光景が、いろいろ映ったり消えたりした。大きな水柱みずばしらを揚げながら、「定遠ていえん」の沈没する所もあった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それからずっと後の事ではあるが日清戦争にっしんせんそう時代にもしばしば「幻燈会」なるものが劇場で開かれて見に行った。
映画時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
明治二十七八年日清戦争にっしんせんそうの最中に、予備役で召集されて名古屋なごやの留守師団に勤めていた父をたずねて遊びに行ったとき、始めて紡績会社の工場というものの見学をして非常に驚いたものである。
糸車 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)