新筵あらむしろ)” の例文
しごきで結わえたままの身体を新筵あらむしろの上に寝かされて、ひしと左右から寄り添いながら、男女共にその顔は、何の苦しみもなく少しのもがいたあとも見せず
延喜式えんぎしきの古式にのっとって、前の年の寒のうちに屋敷の空地の清浄な地に、深さ二丈ばかりの大穴を掘り、そこに新筵あらむしろを敷いて雪をつめた桐の大箱をおさめる。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
其処そこへ東京から新任の県知事がお乗込のりこみとあるについて、向った玄関に段々だんだらの幕を打ち、水桶みずおけに真新しい柄杓ひしゃくを備えて、うやうやしく盛砂もりずなして、門から新筵あらむしろ敷詰しきつめてあるのを
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
正面を逆に、背後うしろ向きに見物を立たせる寸法、舞台、というのが、新筵あらむしろ二三枚。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)