斯般しはん)” の例文
駒之助の愛情とその物狂ひを写せるところ真に迫りて、露伴が悟りすぎたる恋愛よりも面白し。諷刺を離れ、冷罵を離れたるところ、斯般しはんの妙趣あり。
「国民之友」つて之を新題目として詩人に勧めし事あるを記憶す、まことに格好なる新題目なり、彼の記者の常に斯般しはんの事に烱眼けいがんなるは吾人のひそかに畏敬する所なれど
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
道也は実に一妖物なり、奇物なり、露伴にあらずんば誰か斯般しはんの妖物奇物をとりこにせん。
親として子を殺し、子として親を殺す、大逆不道此の上もあらず、しかるに斯般しはんの悪逆の往々にして世間に行はるゝを見ては、誰か悽惻せいそくとして人間の運命のはかなきを思はざらむ。
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
沙翁、人間に斯般しはんの一種の煩悶はんもんの抜く可からざるものあるを見て、通解してへらく
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)