断崕だんがい)” の例文
旧字:斷崕
一方早く自身の生活に立ちかえらなければならないという焦燥しょうそうに駆られながらも、危ない断崕だんがいに追い詰められているような現実からどう転身していいかに迷っていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
さういふ波の活動を連続して受けなければならないのは断崕だんがいになつてゐる処だ。即ち截り立てたやうに真直なあの断崕は、海の為めに海岸の堤の役目をつとめてゐるのだ。
吹雪ふぶきの間からまっ黒に天までそそり立つ断崕だんがいに近寄って行くのを、漁夫たちはそうはさせまいと、帆をたて直し、を押して、横波を食わせながら船を北へと向けて行った。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ある日、茶の間で、若い友人たちがあつまって話をしているとき、うしろの断崕だんがいの上に二本ならんでいる大きな木のことが問題になり、一本はけやきであるが、もう一本は何だろう。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
その猛烈な力を感じてか、断崕だんがいの出鼻に降り積もって、徐々に斜面をすべり下って来ていた積雪が、地面とのえんから離れて、すさまじい地響きとともに、何百丈の高さから一気になだれ落ちる。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)