斑猫はんみょう)” の例文
斑猫はんみょう鴆毒ちんどくは容易に素人の手に入らず、山野の毒草は江戸の町では得難く、中毒死というと、一番先に考えられるのは、この石見銀山でした。
「お前あれは斑猫はんみょうといって大変な毒虫なの。もういね、まるでかわったようにうつくしくなった、あれでは姉様ねえさんが見違えるのも無理はないのだもの。」
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
秋「なに有難く心得て、言う事が前後ぜんごになるというのは可笑おかしい一体何ういう訳で手前は当家のばゞあ斑猫はんみょうってくれろと頼んだか、それを云えというんだ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
垣もすっかりち果てて、犬や猫も自由に通るし、蜘蛛くももあちこち巣を張るし、空には小鳥やアブや蜂がとび廻り、地には蟻やトカゲや斑猫はんみょうが這い廻っている。
庭の眺め (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
吹かけられ、危うく川へ投込まれるところだったと申しますし、四五日前には、朝の味噌汁の中に、見たこともない、恐ろしい虫が入っておりました。斑猫はんみょうと申すんだそうで
大藏のうちへ山路という医者を呼び飴屋と三人打寄って相談をいたしますと、山路の申すには、是は斑猫はんみょうという毒を煮込んだら知れない、しかし是はわしのような町医の手にははいりません
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
秋「それでは源兵衞、手前がように隠しても隠されん処の此方こちらに確かな証拠がある、隠さずに云え、じゃが手前は何ういう訳で斑猫はんみょうという毒虫をばゝに頼んで一疋六百ずつで買うか、それを聞こう」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)