文書もんじょ)” の例文
別後の情を細叙するにもいとまあらず、引かれて大臣にえっし、委托いたくせられしは独逸語ドイツごにてしるせる文書もんじょの急を要するを翻訳せよとの事なり。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
何といおうが、おれの手には、おれの勝訴となった文書もんじょがある。そして、羽鳥や水守の叔父達へは、わが家の正当な遺産である田領の地券を
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この大切な文書もんじょをおきき下さい、御覧下さい。
べつに文書もんじょも何も残ってはいませんがね、私の家にも水戸家にも、こんな言い伝えが昔からある。例の“大日本史”ですネ。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしと法印との仲なればだ。わざわざ両名が首をそろえ六角へ行くにもあたらん。文書もんじょと使者の口上で足りると思う」
彼らのつたえる風聞には、公な文書もんじょだの早馬だのという手間暇なしに、おそろしい直感力と風速を持っている。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諸国との往来文書もんじょ、鎌倉にいる直義ただよしとの連絡時務など、山ほどな用を一おう整理しておき、朝々、ここで主君の胸に訊くのが、彼の要務の一つなのである。
かつは六波羅飛脚とて、文書もんじょだけでは、詳しい分明ぶんみょうもおぼつかなきゆえ、さっそく心ききたる者二名を、京へつかわし、宮中御祈祷の御心みこころは何にあるか、事の真偽を
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
民間だけでなく、ずっと後ではあるが、光圀の書面をたずさえた大串元善おおぐしもとよしは、京都の菊亭内府きくていないふを訪れて、宮中の秘庫ひこにつたわる貴重な文書もんじょや書籍の借覧しゃくらんまで熱心に願い出ていた。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寺宝の文書もんじょや内陣の諸仏を見てから、正成の首塚、建掛たちかケのとうの辺りに立つ。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『じゃあ、文書もんじょにして出すんだな、それなら誰が睨まれることもないやね』
美しい日本の歴史 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「三種の神器、壺切つぼきり御剣みつるぎ、代々の文書もんじょ、すべてを差出されよ」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)