数等すうとう)” の例文
隣の老人の家柄は、今移転して行かうとして居る家族よりは、数等すうとうすぐれた家柄であつた。昔ならばやり以上と以下とでは、殆ど交際が出来ぬほど階級が違つて居た。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
僕はね、奥さん、あの雑貨店の奥の三畳間を借りる前にはね、大学の病院の廊下に寝泊りしていたものですよ。医者のほうが患者よりも、数等すうとうみじめな生活をしている。
饗応夫人 (新字新仮名) / 太宰治(著)
が、両大師前りょうだいしまえにある木などは曇天をかせた枝々に赤いつぼみつづっている。こういう公園を散歩するのは三重子とどこかへ出かけるよりも数等すうとう幸福といわなければならぬ。……
早春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
だちょうの大食は少年にまさること数等すうとうである、かれのために少年たちは、毎日その食料たる木の根や、生草なまくさを、雪深くほらねばならなかった。これには一同へいこうしてサービスにいった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)