あえて)” の例文
昨日のお杉に対して殆ど絶対的の服従をあえてしたのは、自分にも判断の付かぬ一種不可思議の心理作用にった為で、醒めたるのち彼女かれは依然として強い女であった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
獣のような重太郎と相対あいたいしているお葉は、すこぶる危険の位置にあると云わねばならぬ。かれじょうが激して一旦の野性を発揮したら、孱弱かよわい女に対してんな乱暴をあえてせぬとも限らぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)