敢行かんこう)” の例文
どこも白沙青松はくさせいしょうだ。そしてなぎさは長い。寄手よせでは好む所へいつでも敵前上陸を敢行かんこうできる。だからあせる要はない。岸をさぐりさぐり、敵を揶揄やゆし、翻弄ほんろうし抜いている。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
したがって殺した方が目的にかなう場合には、みずからを逡巡しゅんじゅんや反省なしに平気で殺人を敢行かんこうするのである。そして、that's that として、すぐに忘れる。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
この目標によって、彼等ドイツ軍は、この払暁ふつぎょう、このハンバー河口の機雷原きらいげん高射砲弾幕こうしゃほうだんまくとを突破して、この地に上陸作戦を敢行かんこうする手筈てはずだった——仏天青も、ようやくそれをさとった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もっともそうするためにも、それを敢行かんこうし得られるだけの魅力のある味方でなければならないと池上は宣言しておりますからは、池上がわたくしを愛してはいることにはばん、間違いありません。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
小ざかしくも海面から未明に上陸して、敵は奇襲を敢行かんこうして来たものだ。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)