播磨屋はりまや)” の例文
「この人ね」おそのは男のほうへ手を振って云った、「播磨屋はりまやのお弟子で菊太郎というの、菊ちゃん、これいつか話したあたしの娘のおしのよ」
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
大門口おおもんぐち播磨屋はりまやで、二合の酒にあぶたまで飯を食って、勘定が百五十文、そいつがまた俺には忘れられねえ味合だ
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ぼくが可笑おかしがって、吹出ふきだすと、あなたも声を立てて、笑いながら、『土佐の高知の、播磨屋はりまや橋で、ぼうさん、かんざし、買うをみた』とすそをひるがえし、活溌かっぱつに、踊りだしました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
一月十八日 谷中やなか本行寺ほんぎょうじ播磨屋はりまや一門、水竹居、たけし、立子、秀好。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
それから君、幕府の用途方ようどかた播磨屋はりまやという家へ押しかけた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
播磨屋はりまやさんの大蔵卿おおくらきょう、大変にいいんですとさ。」
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
得石はせきをし、指の背で口髭を撫でた、「酔っぱらって頭がどうかしたな、酒屋というのは播磨屋はりまやだろう、勘定は毎月きちんと払って、受取がちゃんと取ってあるじゃないか」
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
片手は播磨屋はりまやをきめこんで小手をかざして海のあたりをながめているのは、多分、江戸へ見世物にやられた時分、どこかの楽屋で、見よう見まねをしたものの名残なごりかと思われる。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)