撫順ぶじゅん)” の例文
堀部君は商会の用向きで、遼陽りょうようの支店を出発して、まず撫順ぶじゅんの炭鉱へ行って、それから汽車で蘇家屯へ引っ返して、蘇家屯かち更に渾河こんがの方面にむかった。
雪女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
自ずと付近一帯に散在する蕃人部落を撫順ぶじゅんするための、理蕃政策の中心地にもなっているというわけである。
霧の蕃社 (新字新仮名) / 中村地平(著)
その事業のなかには、撫順ぶじゅんの大炭坑を、ロシア人とシナ人に還付すべしという請願事件もあった。
私の歩んだ道 (新字新仮名) / 蜷川新(著)
撫順ぶじゅんは石炭の出る所である。そこの坑長こうちょうを松田さんと云って、橋本が満洲に来る時、船中で知己ちかづきになったとかで、その折の勧誘通り明日あす行くと云う電報を打った。汽車に乗ると西洋人が二人いた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
九月二十五日——撫順ぶじゅん
防備隊 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
実を云うと、余は股野がまだ撫順ぶじゅんにいる事とばかり思っていた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)