措辞そじ)” の例文
相互の関係から推察すると、石田氏は措辞そじに窮したすえ、逆上して戦力に訴えたもので、明かに、石田氏の負けだったのである。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
実に巧妙な措辞そじであると思う。この知事のような為政者は今でも捜せばいくらでも見つかりそうな気がするのである。
藤棚の陰から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
エマニュエルが理解し得たあらゆる文学のうちで、もっとも彼の心を動したものは、ユーゴーの叙事詩的な哀感と、革命派の演説者たちのすす色の措辞そじとであった。
一 詩歌しいか小説は創意を主とし技巧をひんとす。技芸は熟錬を主として創意を賓とす。詩歌小説の作措辞そじ老練に過ぎて創意乏しければ軽浮けいふとなる。然れどもいまだ全く排棄すべきにらず。
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
わたくしは忌憚きたんなき文字二三百言をけづつて此に写し出した。しかし其体裁ていさい措辞そじは大概窺知きちせられるであらう。丁卯は慶応三年である。大意は「人君何天職」の五古を敷衍ふえんしたものである。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
その思想の上から、またその措辞そじの上から。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
措辞そじもすこぶる意外なものが多く、意味の通じかねるところもあるが、いたるところにホロリとするような愛情の泉がひそめられ、自分の生涯に、かくも懇篤な
手紙 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
大きな射程をもつ蛇砲だほう及び臼砲の諸元を日本人に洩らすこと、砲手を送ることは厳禁になっていたので、カロンは進退に窮したが、謝絶する措辞そじを思いつくことができなかったので
ひどい煙 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)