推着おッつ)” の例文
だもんだから、何だか私のために、お雪さんが、そんな養子を推着おッつけられて、ひどいめにあわされているようにね、何ということなしに、我身でめてしまったんだもの。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
娘はこの肥満女ふとっちょに、のしのし隅っこへ推着おッつけられて、可恐おそろしく見勝手が悪くなった。ああ、可哀そうにと思う。ちょうど、その身体からだが、舞台と私との中垣になったもんだからね。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と背中を推着おッついて、たった今まで味方に頼んだのを、もう目のかたきにして、小突く。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そんな風にして、無理に推着おッつけて婿を取らしたが、実は何、路頭に立つなんて、それほどこまりもしなんだのを、慾張よくばりで、お金子かねが欲しさに無理に貰ったが悪いことをしたッて、言うんだ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)