そうかと思うと飛行機の通俗講義があったり探偵小説たんていしょうせつがあったり、ヘッケルの「宇宙のなぞ」の英訳の安値版がころがっていたりする。
丸善と三越 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
幸三こうぞうは、探偵小説たんていしょうせつにあるような場面ばめんだとおもいながら勇気ゆうきして、そのとびらをしました。すると、にぶおとをたてて、そのさびたとびらはくらおくほうひらきました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ほう、探偵小説たんていしょうせつには、よく、そんな筋のものがありますがねえ」
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この原因を突きとめるまでに主としてY教授によって行なわれた研究の経過は、下手へた探偵小説たんていしょうせつなどの話の筋道よりは実にはるかにおもしろいものであった。
災難雑考 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
探偵小説たんていしょうせつと称するごときものもやはり実験文学の一種であるが、これが他のものと少しばかりちがう点は、何かしら一つの物を隠しておいて、それを捜し出すためにいろいろの実験を行なう
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)