押並おしな)” の例文
旧字:押竝
都もひな押並おしなべて黒きをる斯大なるかなしみの夜に、余等は茫然ぼうぜんと東の方を眺めて立った。生温なまあたたかい夜風がそよぐ。稲のがする。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
自分は外国へ来て初めて日本婦人の頭髪の押並おしなべて美しい事を思ふ者である。あの房やかな長い髪を本国の人は其程それほど誇りとも思つて居ないのであらう。勿論自分もさう思つて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)