手機てばた)” の例文
木綿の紺絣のほかに、上布があって生麻きあさの上等のを用い、がらの細かいよい品を手機てばたにかけました。決して粗末な仕事ではありません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
祖母の紡いだ糸を紡錘竹つむだけからもう一ぺん四角な糸繰りわくに巻き取って「かせ」に作り、それを紺屋に渡して染めさせたのを手機てばたに移して織るのであった。
糸車 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それよりもさらに著しい変化は衣類で、手機てばたも糸引き車も今は博物館に行って見るばかりになった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
こういう手機てばたものが他に少い時とて、仕事ははっきりした存在を示しました。もとより絹でも織り、好んで太織風ふとおりふうなものをはたにかけました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そうしていよいよ棉種わただねの第二回の輸入が、十分に普及の効を奏したとなると、作業はかえって麻よりも遥かに簡単で、わずかの変更をもってこれを家々の手機てばたで織り出すことができた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そうして、鋼鉄製あるいはジュラルミン製の糸車や手機てばたが家庭婦人の少なくも一つの手慰みとして使用されるようなことが将来絶対にあり得ないということを証明することもむつかしそうに思われる。
糸車 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかも近頃は手機てばた便たよるよりも機械に任せることが主になったので、格安には出来ますが、品質は著しく落ちて来ました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)