“手向(てむ)” の例文
弟(おとうと)は気(き)がやさしくて、けっして兄(あに)に対(たい)して手向(てむ)かいなどをしたことがありません。いつも兄(あに)にいじめられて、しくしく泣(な)いていました。
白すみれとしいの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「畜生(ちくしょう)ッ、あばれるか! 手向(てむ)かいをすると耳をきるぞ! 脛(すね)をぶッぱらうぞ! 歩けッ、歩けッ、うぬ歩かんか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにいったんこうして敵(てき)を退(しりぞ)けたところで、朝敵(ちょうてき)になっていつまでも手向(てむ)かいがしつづけられるものではない。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
彼は僕より躯幹(くかん)長大にして、活発(かっぱつ)にかつ短気の男であったが、この時ばかりは何も手向(てむ)かいだもせず、擲(なぐ)られたままにその夜を過ごし、翌日は丁寧に礼を述べ他の下宿(げしゅく)に移ったことがある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)