所為しよゐ)” の例文
旧字:所爲
右の恐るべき殺人犯は何者の所為しよゐなるか、余等の探知したる限にては、その筋に於て未だ何等の手掛かりをも得ざるものゝ如し。
そこに月番の玉造組平与力ひらよりき本多為助ほんだためすけ山寺やまでら三二郎、小島鶴之丞つるのじようが出てゐて、本多が天満の火事は大塩平八郎の所為しよゐだと告げた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そして心の底では、こんな風に神の為めにするおこなひの代りに人間の為めにする行を授けたのは、悪魔の所為しよゐだらうと思はれる。
我が良人をつと所為しよゐのをさなきもいて隠くさじ。百八ひやくはち煩悩ぼんのうおのづから消えばこそ、殊更ことさらに何かは消さん。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「さうだらう。巡見じゆんけん取止とりやめになつたには、仔細しさいがなうてはならぬ。江戸へ立つた平山の所為しよゐだ。」
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
或は狂人の所為しよゐかと疑ひ、或は何人かの悪謔に出でたらしくも思つた。しかし筆跡は老人なるが如く、文章に真率なる処がある。それゆゑわたくしはたゞちに書を作つて答へた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そしてその何人の所為しよゐなるを探るに及んで、これをつたものの昌盈なるを知つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)