戚々せきせき)” の例文
はやそのことばうちに彼の心は急にいたみぬ。おのれの敬愛せる荒尾譲介の窮して戚々せきせきたらず、天命を楽むと言ひしは、真に義の為に功名をなげうち、恩の為に富貴を顧ざりしゆゑにあらずや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかし保胤は仏教の所謂いわゆる六道の辻にも似た此辻の景色を見て居る間に、揚々たる人、踽々くくたる人、営々汲々きゅうきゅう戚々せきせきたる人、嗚呼ああ嗚呼、世法は亦復かくの如きのみと思ったでもあったろう後に
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
君子くんしたいらかにして蕩々とうとうたり、小人しょうじんとこしなえ戚々せきせきたり」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)