慶長けいちやう)” の例文
私は此通り眼が惡いので、判金はんきん光次みつつぐつた花押かきはんの下に、チヨイとたがねで傷をつけて居ります。良質の慶長けいちやう小判ですから、すぐわかります
それからその後慶長けいちやう元和げんなの頃、京の圓光寺の長老がゆゑあつて近江蟄居ちつきよの時、琵琶湖付近の景を瀟湘八景に擬して當時の人々から詩歌などを得た。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「あの末次平蔵すゑつぐへいざうですね、異国御朱印帳いこくごしゆいんちやうしらべて見ると、慶長けいちやう九年八月二十六日、又朱印を貰つてゐますが、……」
漱石山房の冬 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
御先祖樣が慶長けいちやう元和げんな度々どゞの戰場に、敵の血をそゝいだるその鎧、申さばお身にもかへがたき寶、藤枝五百石のお家はその鎧と太刀の功名故でござりまするぞ。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
例外として、「奉教人ほうけうにんの死」と「きりしとほろ上人しやうにん伝」とがその中に這入はいる。両方とも、文禄ぶんろく慶長けいちやうの頃、天草あまくさ長崎ながさきで出た日本耶蘇やそ会出版の諸書の文体にならつて創作したものである。
風変りな作品に就いて (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「ありますよ。一番の大口は、鹽町の小間物屋で、上州屋周太郎。その家の隅を剥がして、大地の下三尺も掘ると、石の蓋をした瓶の中から、ピカピカする慶長けいちやう小判が二十枚と出て來た」
行李の底から見付けたのは慶長けいちやう小判が二枚。
「これは慶長けいちやう大判」