ウレタ)” の例文
此は、彼自身も自覚してゐたやうに、国事を憂ふるに値せぬ町人だつたに繋らず、其でも相応に、ウレタみ、歎きはしてゐたのである。
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
歓びとウレタみとが、心を揺つてゐた様子も察せられる。「況やかねての抱負も……」以下の述懐は、若い井手氏の心に、さう言ふ風に印象したのであらう。
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
仁孝天皇を泉涌寺陵に葬り奉るのを拝むとてゞある。此時のウレタみ歌は、知らぬ人は少いであらう。
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
……処女のすや板戸を オソぶらひ、我が立たせれば、ヒコづらひ、我が立たせれば 青山に鵺は鳴き、さ野つ鳥雉はとよむ。にはつどりカケは鳴く。ウレタくも鳴くなる鳥か。此鳥も、うち病めこせね。
鶏鳴と神楽と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)