悲愴ひさう)” の例文
かれには悲愴ひさうかんほかに、だ一しゆ心細こゝろぼそかんじが、こと日暮ひぐれよりかけて、しんみりとみておぼえた。これ麥酒ビールと、たばことが、しいのでつたとかれつひ心着こゝろづく。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その慟哭は勿論、悲愴ひさうを極めてゐたのに相違なかつた。或はそこにゐた門弟の中には、「塚も動けわが泣く声は秋の風」と云ふ、師匠の名句を思ひ出したものも、少くはなかつた事であらう。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)