忍苦にんく)” の例文
天は浅黄色あさぎいろに晴れて綿雲わたぐもが夢のように浮かぶ。忍苦にんくの冬にたえてきた木々がいっせいにみどりをふきだす。土をわって草がかれんな花をつけた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
われに越王勾践えつおうこうせん忍苦にんくあり、帷幕いばく民部みんぶ咲耶子さくやこ蔦之助つたのすけあり、忍剣にんけん龍太郎りゅうたろう驍勇ぎょうゆうあり、不倶戴天ふぐたいてんのあだ徳川家とくがわけを討ち、やがて武田再興たけださいこうの熱願、いな、天下掌握しょうあく壮図そうと、やわか
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただに君家のえんをはらしたと云うのみでなく、の衆の示した親子の大愛、うるわしき友の友誼ゆうぎ忍苦にんく、潔白、しかも止むなく目的の遂行すいこうには、法に触れるを得なかったにせよ、前後の行動には
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
させる程なら、拙者も永い忍苦にんくはしませぬ。こうした事の生れる初めに、あなたも父として何も落度はなかったか、拙者も良人として足らぬ所はなかったか。それも考えてみなければなりますまい
夕顔の門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)