御籤おみくじ)” の例文
「待ちな、元三大師の御籤おみくじには忌日きにちがあるものだ。日も時も構はず、毎日御神籤を引くのは、いくら小娘でも變ぢやないか、八」
けれども敬太郎にはこの御籤おみくじめいた言葉がさほどの意義をもたらさなかった。二人は少しの間煙草たばこを吹かして黙っていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御籤おみくじまでいただいて来たのですが、もう一つお角の腹では、今度の一世一代が大当りの記念として、浅草の観音様へ、何か一つ納め物をしようとの考えがあって、額にしようか
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
だんだん聞いて見ると席序下算の便とは、席順を上から勘定かんじょうしないで、下から計算する方が早分りだと云う意味であった。まるで御籤おみくじみたような文句である。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
するんです。小説も非人情で読むから、筋なんかどうでもいいんです。こうして、御籤おみくじを引くように、ぱっとけて、開いた所を、漫然と読んでるのが面白いんです
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)