御望おのぞみ)” の例文
御姉樣の御望おのぞみをかなへた方がねそうであらふだが今朝も父樣が悲想かなしそふなお顏を遊ばして、私しや自分の慾はあきらめているがせつ角父樣もゆるして下すつて
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
さりとて人間を二つにする事も出来ず、お辰様が再度また花漬売にならるゝ瀬もなかるべければ、詰りあなたの無理な御望おのぞみ云者いうもの、あなたもいやなのは岩沼令嬢と仰せられて見ると
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
貴下あなた放蕩ほうとうでというではなし、御望おのぞみがおあり遊ばしたとはいえ、大旦那様が迷惑をお懸け遊ばした方々の債主へ、少しずつお分けになったのでござりますもの、拓はよくしたとおっしゃったのを
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)