御教みおしえ)” の例文
徳川の御代はすでに万代不易まんだいふえきいしずえも定まり、この先望むところは只御仁政一つあるのみじゃ。ましてや天台の教えは仏法八宗第一の尊い御教みおしえじゃ。
やがてはまた、今夜の闇討が縁となって、その方どもが摩利の御教みおしえに帰依し奉る時も参るであろう。じゃによってその時が参るまでは、一先ひとまずこの場を退散致したがい。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
仏様の御教みおしえは何事に対しても執着心を持つなとあるのだが、今こうして心静かに楽しく住み得るこの山の中の草庵を愛することさえ一つの執着心の現れで罪悪なのである。
現代語訳 方丈記 (新字新仮名) / 鴨長明(著)
されば DSでうす が大慈大悲の泉源たるとうらうえにて、「じゃぼ」は一切諸悪の根本なれば、いやしくも天主の御教みおしえを奉ずるものは、かりそめにもその爪牙そうがに近づくべからず。
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、予は姫君が恋しゅうて、御意ぎょい得たいと申すのではない。予の業欲ごうよくに憧るる心は、一度唐土ひとたびもろこしにさすらって、紅毛碧眼の胡僧こそうの口から、天上皇帝の御教みおしえ聴聞ちょうもんすると共に、滅びてしもうた。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
たとい今生こんじょうでは、いかなる栄華えいがを極めようとも、天上皇帝の御教みおしえもとるものは、一旦命終めいしゅうの時に及んで、たちまち阿鼻叫喚あびきょうかんの地獄にち、不断の業火ごうかに皮肉を焼かれて、尽未来じんみらいまで吠え居ろうぞ。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)