御幸ごこう)” の例文
行幸ぎょうこう御幸ごこうを仰ぐのはめずらしくない都の男女だったが、朝覲ちょうきん行幸みゆきと知って「……今日ばかりは」の、ひしめきらしい。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上皇の御幸ごこうであっても、お供の公卿たちは急造のいおりに草枕することもあったのだが、それにしてもこうした交通の自由感の生れてきていたことが
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
無心に乗る帝と共に同乗したのは母后ぼこうではなく御乳母おんめのと帥典侍殿そつのすけどの一人、そして中宮建礼門院、後白河法皇、高倉上皇も御幸ごこうになれば、太政大臣以下の公卿殿上人
さくら御門の枝垂しだれ桜をって、大路の一端へ、さんらんと、揺れ出て行く御幸ごこうの御車にも、陽炎かげろうが立っていた。
東塔とうとう御幸ごこう頂きたい」
大声張りあげて、平家琵琶びわの大原御幸ごこうを夢中で呶鳴りだした。——眼を固く閉じ、顔をしかめ、自分の声でつんぼになれとばかりわめいていたところなのであった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やあ、推参すいさんな。これは院の御車みくるま、院の御幸ごこうなるぞ」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)