御伽草子おとぎぞうし)” の例文
『福富草子』は足利氏の世に成ったもので、『新編御伽草子おとぎぞうし』の発端に出おり今は珍しからぬ物だが、京伝、馬琴の時には流布るふ少なかったと見える。
しかも実際は小説・御伽草子おとぎぞうし絵巻物えまきもの以上に的確に真相を突留つきとめることは、求めたからとてできることではなかった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「知っているでしょう」と宇乃が云った、「いつか御伽草子おとぎぞうしで見たことがあるわ」
御伽草子おとぎぞうし』の「鼠の嫁入よめいり」などが世に行われて、是を人間の若い妻に、たとえたものとする解釈も普通になったが、そうなると実は説明がしにくいのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
御伽草子おとぎぞうし天稚彦物語あめわかひこものがたりは、羽衣とは反対に人間の美しい少女が、天上に嫁入する説話であるが、その結末にはやはり月に一度と男神の言うのを、一年に一度ときちがえて
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
以前『御伽草子おとぎぞうし』の「和泉式部いずみしきぶ」を読んで、「昔和泉式部といふ名高き遊女ありけり」とあるのに、私などは喫驚びっくりしたものであったが、この書のできた時分の我邦わがくにの遊女も
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)