從妹いとこ)” の例文
新字:従妹
從妹いとこのお光と、小僧一人の世帶ですが、小僧は店の次の間で寢て居るし、喜太郎は久し振りで草鞋わらぢの夜なべを休んで、奧で遲くまで
若しあなたと私とが、始終しよつちゆう一緒に暮らすやうに定められてゐたのだつたら、從妹いとこよ、私共は、今とは異つた足場に立つて事をはじめたでせうよ。
お新と呼ぶ從妹いとこの與之助には六歳おとりにて十八ばかりにや、おさなきに二親なくなりて哀れの身一つを此處にやしなはるゝ、此三人ぐらし成けり、筒井づゝの昔しもふるけれど
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
熊手のが濡れて居るのも變ですが、從妹いとこのお光が殺された日、母家おもやにはその死骸を運び入れて、とむらひの支度の眞つ最中に、主人の喜太郎が
だから、從妹いとこの一人なんぞ、どうでもいゝとお思ひになるでせうけれど、私には今迄誰もなかつたのです。
「これも主人徳右衞門の古い知合で、紋三郎といふ腕のいゝ彫物師ほりものし、母親は徳右衞門の從妹いとこで、お町と言つたさうです」
「セント・ジョンは、あなたが彼の從妹いとこだと分る前に、あなたをモオトンの學校教師にしたのですね?」
「駈落なんてえのは馬鹿のすることだよ。本所の叔母さんとか、湯島の從妹いとことかのところへ行つてゐるんだらう」
從妹いとこのお才さんを、——見直すと何んでもない顏だつたんですつて。でも、お仙さんはもののはずみで、首のあたりを少し斬り、手にも少し怪我をしました。
「これは家内の姪のお梅、——そちらは、くなつた伯父鬼三郎の娘で私には從妹いとこに當るお幽と申します」
それから、その從妹いとこのおさいさん、良いきりやうだけれど、あまり賢こくてよく出來て居るので、選り好みがひどくて、二十三にもなるのに、嫁の口もきまらない、白齒の娘。
從妹いとこの小夜菊は、あの見つとも無い男の順八の許婚いひなづけだつたんだ。亭主だつたかも知れないよ。
「それつきりの話なら、御用にも十手にも及ぶまいよ、從妹いとこの顏が藍隈あゐくまの鬼女に見えたのも、大方身持のせゐだらう。身持になつたばかりの女は、妙なことを氣にするものだよ」
「近所で訊くと、二階にはめひとか從妹いとことかいふ、少し氣の變な娘がゐるさうですよ」
「私は叱られ通しで、——孫六は妹のお梅と、從妹いとこのお才を可愛がつてゐましたよ」
傳七郎は其の場で神妙に繩を打たれましたが伯父小牧半兵衞を殺し、從妹いとこのお優に傷を負はせた敵——又六を討つた經緯が明白になつて間もなく許された事は言ふまでもありません。
父親は俳諧はいかいに更け、自分は從妹いとこ達と話に夢中になつて、たうとう泊り込んでしまひ、今朝歸つて來て姉が殺されてゐるのに驚いたといふことだけは、娘らしい調子で説明してくれました。
越したばかりの若い男だ。遠い從妹いとこのお舟さんの、人並すぐれて綺麗なのや、情け深いのを見て、木や石のやうな心持でゐられるわけはない。私の心はとうから火のやうに燃えてゐる——
「俺が、そんな事を知るものか。いづれ田舍の從妹いとことかめひとかいふんだらう」
從妹いとこの小夜菊に玩具にされて口惜し紛れにやつたんだらう、あんな生一本の男は怖い、——小夜菊はいろ/\の男に狙はれて居ることを、お前に見せて置くために伊勢へ行くと言つて留守にし
「いや、放つて置けない奴だ。伯父を殺した上に、從妹いとこまで——」