後添のちぞえ)” の例文
こうた下女——それもちょいと爪外れの良い年増と、美しい後添のちぞえの女はどんなものか、親分にも見当はつくでしょう。
藩出身で今はしかるべき地位にある人が、「ちょうどお似合に思われるから、お後添のちぞえに遊ばしたら」
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
前様めえさま後添のちぞえにしべえと、分家の旦那様とわしが勧めたけれども、旦那様はかてえから、あんまり歳が違うから村の者へ外聞が悪いというのを、多助さんには叔母さんの事だから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
父は酒も煙草ものまず、勤勉と倹約で一生を押しとおした。九年まえに母が病死したとき、父はまだ四十二歳だったから、後添のちぞえの縁談がずいぶんあった。しかし父は首を振った。
あだこ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
朝田屋の亡くなつた主人の先妻の連れ子でございます——朝田屋の後添のちぞえの娘お縫さんとは、兄妹と言つても他人だから、二人を一緒にしてくれと、父親の生きて居る頃頼んださうで御座いますが