征人せいじん)” の例文
庭に下りて花をうえる時、街の角に立って車を待つ時、さては唯窓のすだれかんとする時吹く風に軽くたもとを払われてもたちまち征人せいじんきょうを望むが如き感慨を催す事があった。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼は「磧裡せきり征人せいじん三十万、一時こうべめぐらして月中に看る」の詩をののしりて曰く、「これ丈夫じょうふの本色ならんや」と。しかれども彼は故郷を懐えり、故郷の父母は、恒に彼の心に伴えり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)