彼人あれ)” の例文
わたしのやうによくおまへ時間じかんつてるなら、時間浪費じかんつぶしはなしなぞしないがい。それは彼人あれさ』と帽子屋ばうしやひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
願ったりかなったりで、この上もない結構な事でございますが、ただ彼人あれに困りますので。一さんは宗近家を御襲おつぎになる大事な身体でいらっしゃる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『まさか』と自分おれ打消けして見たが『しかし都は各種の人が流れ流れて集まって来る底のない大沼である。彼人あれだってどんな具合でここへ漂ってまいものでもない、』
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「もし彼人あれが断然うちを出ると云い張りますと——私がそれを見て無論黙っている訳には参りませんが——しかし当人がどうしても聞いてくれないとすると……」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼人あれとはだれのことか、』自分おれはここにその姓名を明かしたくない、単に『かれ』と呼ぼう。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
彼人あれッてつたつて、だれのことだかわかりやしないわ』とあいちやん。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
この時もしや今のは彼人あれではないかという考えがいなずまのように自分の胸に浮かんだ。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
欽吾がもう少し面白くしてくれれば好いと藤尾にも不断申しているんでございますが——それもこれもみんな彼人あれの病気のせいだから、今さら愚癡ぐちをこぼしたって仕方がないとは思いますが
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)