影像イメジ)” の例文
いくら彼の頭が偉い人の影像イメジうずまっていても、彼自身が偉くなってゆかない以上は、何の役にも立たないという事を発見したのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし自分の新らしく移った住居については何の影像イメジも浮かべ得なかった。「時」は綺麗きれいにこのびしい記念かたみを彼のために払い去ってくれた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
実を云うと、自働車の燭光あかりで照らされた時、彼のひとみうちに映ったこの人の影像イメジは津田にとって奇異なものであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先刻さっき電車の中で、ちらちら眼先につき出したいろいろの影像イメジは、みんなこの一点に向って集注するのだという事を、前後両様の比較から発見した彼女は
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見れば北側の障子しょうじと、その障子の一部分をさえぎる津田の影像イメジだけであった。彼女の視線は窮屈であった。しかし彼女はあまりそれを苦にする様子もなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)