当込あてこ)” の例文
風通ふうつうあわせぐらいは奮発にあずかれるかも知れないという、内々の当込あてこみがフイになってはたまらない。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
当夜は、北町の友達のその座敷に、五人ばかりの知己ちかづきが集って、袋廻しの運座があった。雪を当込あてこんだもよおしではなかったけれども、黄昏たそがれが白くなって、さて小留こやみもなく降頻ふりしきる。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蝙蝠傘こうもりがさを杖にして小さい扇を使っている女もある。それらの人々を当込あてこみに甘酒屋が荷をおろしている。小さい氷屋の車屋台が出ている。今日ではまったく見られない堀ばたの一風景であった。
御堀端三題 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)