引括ひっくる)” の例文
殊に蓼科山あたり迄を引括ひっくるめた八ヶ岳火山群となれば、恐らく他にこれと比肩すきものはあるまい。
高原 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
こういう今の自分の何もかもを引括ひっくるめて自嘲したいような気もちにしかなれずに。——
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
養父に言告いいつけて、内輪揉めをさせるというのもその一つであったが、総てを引括ひっくるめて、養家に辛抱しようと云う堅い決心がないと云うのが、養父等のお島に対する不満であるらしかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
妙高山は火打、焼山、雨飾等の諸山を引括ひっくるめた妙高火山群に属する一峰で、標高二千四百四十六米、山群の最高峰火打山より十六米低いが、盟主たる資格を充分に備えた標式的の二重火山である。
明治十三年十月出版の『改正銅鐫上野国全図』にして、しかも其名称が現時の菅沼を指させるものなるか、或は附近の丸沼及大尻沼を指せるものなるか、または以上の三湖を引括ひっくるめて指せるものなるかは
古図の信じ得可き程度 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)