引卸ひきおろ)” の例文
早速引卸ひきおろして模様を尋ねても、便所の前に行ったまでは覚えているが、それから先のことは少しも知らぬ。ただふと気がついたから救いを求めたといっていた。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大口のようなズボンを穿いている——がやって来て、これも何か早口で指図をすると、子供らは心得て、蜘蛛くもの子のように四散し、高い桁梁けたはりから吊された幕を引卸ひきおろしにかかります。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
兼太郎は路地へ戻って格子戸を明けると内ではもう亭主がいびきの声に女房が明ける箪笥たんすの音。表の戸をしめて兼太郎は二階へ上り冷切ひえきった鉄瓶てつびんの水を飲みながら夜具を引卸ひきおろした。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
(鬼貫は路通の腕をつかんで、縁より引卸ひきおろさうとする。)
俳諧師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)