弓鳴ゆな)” の例文
さきに立てた弓隊が、一斉に弓鳴ゆなりを発して、物凄い矢風を送るや、蜂屋隊もそれに報いて鉄砲をあびせかけた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かなり長い間、ピシッピシッと盛んな朝稽古の弓鳴ゆなりが聞え、それが止むと、やがて今度は、音吐朗々と経書を読む声がするんです、それが逗留中、毎朝、欠かすことがなかった。
小説のタネ (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もちろん、弓組もいるので、弓鳴ゆなりや銃声は間断もない。しかしそれ以上なのは、敵味方約五、六百の喊声かんせいだった。その声は、たれひとりとして、のどから出しているようなのはない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弓鳴ゆなりもしない。不気味なことは、かえって喧騒震撼けんそうしんかんするよりも甚だしい。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて江田行義、篠塚伊賀守、綿打わたうち入道にゅうどう義昭ぎしょうらの三隊が、川へ先陣を切ってゆくと、がぜん、対岸から猛烈な弓鳴ゆなりがおこった。およそ相手が渡渉としょうして来そうな浅瀬は敵もよく見ていたのである。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)