くるわ)” の例文
台傘の朱は、総二階一面軒ごとの毛氈もうせんに、色映交さしかわして、千本ちもと植えたる桜のこずえくるわの空に咲かかる。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もとは父親の生きている時分から上京かみぎょうの方に住んでいたが、くるわに奉公するようになって母親も一緒に近いところに越してきて、祇園町の片ほとりの路次裏にわびしい住いをしていた。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)