廉耻れんち)” の例文
重吉は人のうわさ、世間の出来事、日常見聞する事にその例を取って、努めて良心を麻痺まひさせ廉耻れんちの心を押えるような方法を考えた。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
怜悧れいりに見えても未惚女おぼこの事なら、ありともけらとも糞中ふんちゅううじとも云いようのない人非人、利のめにならば人糞をさえめかねぬ廉耻れんち知らず
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
重吉はこのまま種子の世話になっていようと思えば、まず何より先に男の持っている廉耻れんちの心を根こそぎ取りててしまわなければならない。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何にもそうとぼけなくッたッて宜いじゃ無いか。君みたようなものでも人間と思うからして、すなわ廉耻れんち
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)